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異なる時間軸が結びつくPERCHで生まれた、新しい芸術教材『eye for art』

April 21, 2026

2025年11月、PERCHメンバーの木原さん(梅ノ木文化計畫)を中心とした共同プロジェクトが国内で製作・公開された優れた先進映像コンテンツを表彰する、先進映像協会「ルミエール・ジャパン・アワード 2025」において奨励賞を受賞しました。受賞者には名だたる団体や大企業が並ぶ中、「高臨場感で芸術家の技と哲学を学べる没入型教育コンテンツの継続的提供」が評価されました。


<VR芸術教育学習プログラム『eye for art』とは?>

『eye for art』はVR技術(360度映像+VRゴーグル)を活用した「制作」「鑑賞」の2つの視点から学べる芸術教育プログラム。東京国立近代美術館、武蔵野美術大学彫刻学科研究室、梅ノ木文化計畫による共同研究プロジェクトから生まれました。

国立美術館に収蔵されている著名な作品をつぶさに、かつ多面的に鑑賞できるほか、大学のアトリエで撮影された実習さながらの講義で制作過程を学ぶこともできます。制作と鑑賞を結びつけ、両方の視点から芸術家・研究者が解説を行い、完成した作品と制作過程を通して芸術作品の魅力に迫ります。


 

『eye for art』の企画・製作プロデュースを行った木原さん、プロジェクトへの出資などを通じてサポートしたベクターデザインの梅澤に開発の経緯や思い、そして今後の展望について話をうかがいました。

「芸術教育の経験」×「普及型VR機」から生まれた『eye for art』

─開発のきっかけとなるトピックを教えてください。

木原:きっかけはベクターデザインでの「Oculus Quest 2」体験会です。

梅澤:2021年の初めに、発売されたばかりの「Oculus Quest 2」を手に入れたので、みんなで触ってみようと集まった会でしたね。

木原:VRゴーグルの技術は知っていたので、VRの技術革新が進んだことよりも、「Oculus Quest 2」が低価格で発売されてVRの導入障壁が格段に低くなったことに驚きました。

梅澤:性能が大幅にアップした64GBモデルが3万円台前半でした。当時はローエンドモデルがそのくらいの価格で、ハイエンドだと10万円以上はしました。

木原:「低価格な民生機で、ここまで表現できるなら、一般ユーザーがいろいろなことに使える!」と思って、これまでの自分の活動と絡めて何かできないかと考え始めました。

─それが「芸術教育の教材」だったのですね。

木原:私が芸術学校の運営や講師をしていたこと、まわりにも芸術を教えている友人が多かったこともあって、芸術教育の教材というアイデアはすぐに出てきました。アーティストだけで食べていくのは難しいですが、美術で生計を立てる手段として、多い職業のひとつは教えることなんです。

梅澤:学校の教諭、大学の教授とか、音楽スクールの講師や絵画教室の先生もありますよね。

木原:折しもパンデミックが進行中で、対面での作品展示や、教育も難しい状況となり、武蔵野美術大学では熊本の高校と連携したメタバース上での授業など、新しい可能性を模索している時期でもありました。

梅澤:その話を聞いておもしろそうだと思いまして。ベクターデザインも出資して一緒にやろうということになりました。

木原:ベクターデザインに加えて、VR領域へ事業を広げようとしていたPERCHメンバーのK-relationsからも出資を受け、芸術教育プログラムをVR教材化する『eye for art』を一つの柱として、プロダクト化しようという話へと発展しました。

また私の友人で、武蔵野美術大学で教授を務める彫刻家の冨井大裕さん、東京国立近代美術館美術課長の三輪健仁さん両氏の協力を得て、彫刻作品とその制作過程を360度カメラで撮影する、芸術教材開発がスタートしました。

梅澤:K-relationsも「最高級の360度カメラで撮影したらどんなものが作れるのか」という技術的な好奇心から興味を持ってくれて。私も美術作品や美術館のVR映像を見たときに、あまりピンと来なかった経験があったので、当時の最高峰の機材なら、その違和感が解消されるのかなという点が知りたかったんですね。

PERCHメンバーの協力により、大きな課題を解決

─『eye for art』のユーザーにはどのような人を想定していましたか?

木原:メインの対象は初学者を想定していましたが、キュレーターや研究者など作品を扱う側の人の中には、実際に作られている過程や制作の現場を見たことがない人も少なくないんですよ。塑像の作り方や木彫の作り方など、理論としては知っているものの、具体的なところまでは分からない。作品を作らない人であっても、制作現場や制作過程を知っていたほうが、作品研究や展覧会制作の精度も上がるはずです。

梅澤:実際にプロジェクトに関わってから、美術作品の制作過程を可視化する取り組みが、これまであまりされていなかったと知って驚いたんですよね。

木原:芸術家に限らず、何かしらの作品を作る人は、ものを見れば「これはどうやってできているのか?」って日常的に考えるんです。PERCHの人たちもみんなそう。梅澤さんはその筆頭ですね。

─なるほど、芸術の初学者だけでなく、ものづくりに携わっている人にもためになるわけですね。

木原:初学者にとっては、自分がこれから学ぶ技術と、歴史的に評価され美術館に所蔵された作品とがどのようにつながっているかを知るきっかけにもなります。そこで、完成品を撮影するだけでなく、研究者や芸術家が、制作工程を分析しながら説明する「過程を学べる教材」にしたいと考えました。


(第一弾:荻原守衛《女》を題材にした教材のキャプチャ)

梅澤:木原さんの伝えたかったことが『eye for art』の第一弾で伝えられたらおもしろいぞと思う一方、空気感はつかめるけど、これを見て何か作ろうと思ったとき、再現するのはちょっと難しいなとも感じました。

手の動きとかを見るにはもっと細かいところまで寄りたいけど、360度カメラで寄る映像は難しいんですね。そこで第二弾の制作時には、立体視できる二眼カメラ(イマーシブカメラ)を撮影に使うよう提案しました。


(第二弾:『見ることは作ること ̶彫刻編 ̶ 《幼児表情》橋本平八』のキャプチャ)

梅澤:手の動きも間近に見えるし、臨場感も感じられる迫力のあるコンテンツになりました。その勢いで第三弾も作ろうと思っていたんですが、『eye for art』の制作事例をPRしていたら、ベクターデザインとしてのVRコンテンツのプロデュース案件につながりまして。そちらにリソースを割いた関係で、第三弾が公開できるまで少し間が空いてしまいましたね。

木原:その間、私のほうは東京都立総合芸術高校や武蔵野美術大学で学生向けの実証デモンストレーションを行って、実地の授業での運用事例を重ねました。

木原:例えば、塑像制作の初めには像の軸となる「心棒」を作ります。この心棒の作り方によって、完成する彫刻作品のマッス(塊)や形が規定されます。ところが藝大、武蔵美、多摩美、日芸など、大学によって作り方が違うんです。それこそ、同じ大学でも先生によってそれぞれ違う場合がある。

─作り方が教育現場によって異なる話は、外側から見ただけじゃ、まったく分からないですよね。私も初めて知りました。

木原:そう。心棒の作り方を知ることによって、「彫刻」をより深く理解することができるわけです。この話は冨井さんから教わったもので、『eye for art』の源泉の一つになっています。

梅澤:教育用途で使うにあたって、実は第一弾では、とても大きな課題を抱えていたんです。第一弾の開発段階から、360度動画を複数人で同時に再生できる仕組みが欲しかったんですが、市販のアプリケーションでは求める機能が実現できなかったんです。それを、第一弾がリリースされたあとにK-relationsが開発してくれたんですね。

木原:おかげで、映像も画像も3Dモデルも、統合したプラットフォーム上で見られるようになりました。しかも同時再生で、皆が一斉に同じものを見ている状態が実現できたんですね。現実と同じように、VRやXRで複数人が同じものを同時に見られるのは普通にできるものと思われがちですが、うまい具合にストレスなくできるものがなかったんです。それをK-relationsは実現してくれました。

技術よりも「継続的な取り組み」への評価が認められたことがうれしかった

先進映像協会ルミエール・ジャパン・アワード表彰式2025

─アワードへの応募は、当初から目論見にあったのですか?

梅澤:「ルミエール・ジャパン・アワード 2025」に応募したのもK-relationsからの助言でしたね。

木原:そう、応募締め切りの一週間くらい前に、賞のことを教えてくれて(笑)。それまでまったく知らなかった。2025年に公表した第三弾「若林奮《北方金属》」を含めた『eye for art』全3篇の資料をガーッと急いで作って応募したんですよ。あとで過去の受賞者を見たら、名だたる大企業ばかり。出すところを間違えたと思っていたんですが、賞をいただけました。

─受賞理由は「高臨場感で芸術家の技と哲学を学べる没入型教育コンテンツの継続的提供」でした。

木原:それがとても重要なんですよ。VRコンテンツ自体よりも、5年あまり続けている継続的な取り組み全体を評価してくれたこと。ちゃんと見てほしいところを、評価してくれたのが、本当にありがたかった。冨井さんも「一つの作品を評価されるよりも、作家の芸術活動全体を評価されたほうが、僕はうれしい。だから受賞できたことはすごくよかった」と言ってくれました。

梅澤:受賞の話を使ってまた営業をしてまして、おかげさまで新たな受注をいただけました。

─『eye for art』で取り組みが、実を結んだのですね。どのような領域での案件ですか?

梅澤:やっぱり教育です。教育の一環にVRやXRを使ったコンテンツを取り入れる話で始めたんですが、いつの間にかXR・AIがメインストリームになって、その事業のための開発をしているところです。事業化・案件化のフレームワーク作り、言いかえればおもしろそうな技術を点と点で結び、像を描くのはベクターデザインの得意分野です。その次のフェーズ、実際の企画に落とし込んでいくのは木原さんの得意分野。

木原:『eye for art』では、私の企画を形にするフェーズで、K-relationsが大きな役割を担当してくれました。PERCHという場所があって、定期的に顔を合わせているメンバーと一緒のプロジェクトだったから、形にできました。僕一人だったら途中で立ち消えになる可能性もありましたよ。

─それはなぜでしょう?

木原:一緒に仕事ができるレベルまで信頼をおける人たちがいる中で、僕が原因で止まっているプロジェクトがあったら、ものすごく気が重いわけですよ(笑)。「あの件、どうなった?」って言ってくれる人たちがいるからこそ世に出すことができて、しかも賞という評価をいただけたと思います。

梅澤:興味の軸と興味が発生する時間軸の違う人たちが集まっているのが、PERCHのいいところですね。ベクターデザインは機材や技術的な動向に、K-relationsは作ることに、木原さんは利活用に興味がある。その3つの、興味へのベクトルが時間差で重なり合った成果が『eye for art』だと思っています。

次の目標は「教育現場への普及」と「デジタルアーカイブの可用性」

 

─『eye for art』の今後の展望について教えてください。

木原:まず『eye for art』をなるべく多くの学生に使ってもらえるよう、普及させる取り組みを進めています。そのうえで、芸術教育の授業の一部に『eye for art』を組み込み継続的に利用するため、補助金の活用なども視野に入れています。

梅澤:ベクターデザインとしては、PERCHという場を通じて『eye for art』のような、外部から評価をいただけるような取り組みが行えることを、広く伝えていきたいです。すでに案件化されているものもありますが、『eye for art』を生み出した枠組みを活用して、新しいサービスのプロトタイプ構築を支援したり、新たな起業につなげていきたいと考えています。

─技術的な新たな展開、例えばVRを使った新たなコンテンツなどはイメージされていますか?

木原:どのような技術を使うかは二次的なテーマで、『eye for art』ではVRという先端技術を活用しましたが、実はVRへのこだわりはないんです。AI技術だったり、また別の新しい技術が出て来たときにも、「作ることと見ることを結びつけて芸術を考える」という軸はぶれずに「この新しい技術をどう使うか」って応用が利きますから。新しい技術を使おうという考えが先行すると、目的が見えずに進んでしまい意義を見失ってしまい、結局長続きしないか極端な方向に行ってしまう気がします。

また、芸術作品を作っているのではないので、「何に使えるか」というところまで一緒に考えないと、「だからどうした」と受け取られてしまうものができちゃう。いま、大学などの教育機関と『eye for art』で開発したプラットフォーム上で、見て学べるコンテンツ作りができないかと検討しています。

─ベクターデザインとしての新しい展開は?

梅澤:『eye for art』プロジェクトを通じて強くなったのが、アーカイブに対する問題意識です。ここ10年で、デジタライズ技術はかなり実用度が増して、音声にしろ画像や3Dにしろデータ化は比較的容易にできるようになりました。次に来る壁は、デジタライズしたものが「見つけられない」ことなんですよ。

物理倉庫と同じで、データがストレージに入った瞬間に可用性が落ちてしまう。欲しいときにアクセスできなくて、あるのに、ないのと同じ状態になる。これは結構まずいなと思っていて。ベクターデザインでは別のプロジェクトで、AIを使ってアーカイブの検索性・探索性を上げる取り組みを進めています。データが見つけられて、初めて集合知になる。残して終わりではなく、共創を加速させるところまでを、次のミッションとして取り組んでいきます。

木原:デジタルコレクションも「アーカイブしました」「3Dで見られるようになりました」で終わってしまうと意味がなくて、結局それを何に使うのか、どう学びに組み込むのかまで一緒に考えないとならない。その組み込み方が一番難しいし、運用方法も含めて作らないと活用にはつながらないと思っています。

 

木原 進(株式会社梅ノ木文化計畫)

2021年5月にPERCHで創業された新会社。展示室や図書室などの文化空間の構築、文化教育機関での先端技術活用やアーカイブ構築の支援など、文化芸術に関わる様々なプロデュースを行っている。

取材編集/常山 剛

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