IT電気工作職人の朝は早い
東京代々木。
駅から徒歩3分。
ここに一軒のビルがある。
IT電気工作職人の仕事場である。
彼の仕事は決して世間に知られるものではない。
我々は、その一日を追った。
早速彼が何か機械いじりを始めた。
――これは…なにをされているんですか?
「スマートフォンの修理です。PERCHメンバーからの依頼ですが、ちょっと苦戦しています(笑)」
彼は冗談めいて語るが、その目は真剣そのものだ。
「まあ、好きで始めた仕事ですから」
楽しそうに半田ごてを当てていく。
数時間後、彼の作業部屋を訪ねるとまたもや何かいじっていた。
――今度は何を?
「いやあ、ドローンの修理です。某市長さんから頼まれてしまって」
――ドローンとは?
「難しく言うと無人機です。
空中写真の撮影とか災害調査なんかにも使われている
ラジコンみたいなものですよ」
手先の動きが早すぎて通常のカメラでは追えない。
IT電気職人の本領発揮だ。
数日後。
修理していたドローンの試運転デモンストレーションが行われた。
「さぁて…動くかな?(笑)」
リモコンを握る手に力が入る。
フォーーーーン…!
回転翼が勢いよく回り始める。
「おぉ…!」
同時に会場がどよめいた。
成功だ。
しかし彼は満足していない様子だ。
「まだ仮の段階ですから。ここから仕上げるんです」
お披露目もそこそこに、さらに改良を進めるべく彼は自室の闇に消えた。