VRゴーグル装着者の視野を簡単に共有:仮想空間と現実空間の橋渡し「VRミラーリングキット」
バーチャル・リアリティ(VR)は、今や誰もが知っている存在です。
でも、VRを利用した映像コンテンツやゲームを「実体験」した人は果たしてどれくらいいるでしょう?
Oculus Quest2のような高性能な専用ゴーグルが手頃な価格で入手可能になり、より身近な存在にはなりましたが、まだまだスマートフォンのような手軽さはありません。
まずなんと言っても「ゴーグルを装着」すること自体がハードルですが、もう一つ越えるべき課題が。
そもそもVRゴーグルをかけてコンテンツに没入できるのは一人だけ。
その周りにいる人たちは、体験者と同じ視点でコンテンツを見ることができないので、取り残され白けてしまうこともしばしば。
VR関連サービスを展開する企業にとっては、頭の痛いところでした。
この課題の解決に取り組んだのが、PERCHで映像制作会社を経営している、株式会社K-relations・小林社長。
主要業務である映像制作の他に、VRコンテンツも数多く手掛けていらっしゃいます。
最初の対応策として、営業先でモニターをお借りしてデバイスと繋ぎ、VRゴーグルの装着者に見えている映像を、周囲の人も共有できるよう試みました。
ところが、いざ現場で準備を始めてみると、機材が立ち上がらない、やっと起動したと思ったら今度は繋がらない・・などのトラブルも多く、とても効率が悪かったそう。
「実際にVRコンテンツを体験してもらう前に、お客様の気持ちが離れてしまうことがもどかしかったんです。」とは小林社長の談。
限られた時間の中で、VRコンテンツの魅力を余すことなく伝え、お客様に喜んでもらうには・・
そこで製作されたのが、VRデモンストレーション用キット「VRミラーリングキット(以下、VRMK)」。
耐久性・防水性・防塵性に優れた保護ケースに、19インチモニター、ストリーミングシステム、最長6時間の稼働を支えるバッテリーを内蔵しており、Oculus Quest2も充電・収納できます。
VRMK完成までの道のりは、試行錯誤の連続。
そこで小林社長が相談したのが、ベクターデザイン。同社はPERCHメンバー向けにプロトタイプ開発の支援を行っています。
目的や利用シーン等のヒアリングから設計や部品調達、試作といったプロセスを共同で行い、どんどんブラッシュアップ。
また、最近PERCHメンバーとなった木原進さん(芸術家や美術館等の活動支援を行う会社を準備中)は、開発中のVRMKを担いで現場へ赴き、デモを実施。
ユーザーの声も小林社長へフィードバックされ、さらなる修正が施され、現在のVRMKが完成しました。
必要な機材がすべてセットアップされており、場所も選ばず、効率の悪かったデモの準備時間を大幅に短縮。お客様をお待たせすることもなくなりました!
これは、VRを活用したサービス&プロダクトに関わる人たちにとって、強力な営業ツールです。
VRゴーグル装着者とその視野画面
小林社長は現在、VRMK上での利用を想定した、現在ビジネス向けの新しいVRデモツールの開発に着手しているそうです。
新型コロナウイルス感染拡大に伴い、様々な分野でVRを使った新しい活動の可能性が模索されています。
仮想空間の重要性が高まれば高まるほど、リアルな現実空間を希求する力学も働くことになるでしょう。
株式会社K-relationsのVRミラーリングキットは、仮想空間と現実空間の橋渡しをするコミュニケーションツールとして、これまで以上に多くの人々へ、VR体験の機会を提供することが期待されています。
株式会社K-relations:https://k-relations.com/